Influence

アウフコロンシリーズ三作目にあたる絵本です。コミティア120にて発表。今作を持って"Auf:Nikki"イラストの掲載を完結しています。収録されたイラスト、短編のお話を一部掲載してます。

イホウニテ

 とっても昔の話なんだけどね。

 

 文明が崩壊する前は、電気の通るカラクリの中に仮想の世界を作って遊ぶ文化があった。

 誰もがカラクリを持ち、そして誰もがその仮想世界に依存していた。

 

 それはもっと昔、文字を用いた本という形よりも分かりやすかった。絵をみるよりももっと動きがあった。一つの曲よりも飽きなかった。映画よりも自分がそこにいることができた。そして現実とは違って、寂しくなかった。

 

 あるとき誰かが言い始めた。

 この世界の人は生きていると。ただの登場人物じゃないと。そこは本当にあるのだと。

 それは皆に批判された。

 

 よくある設定の世界。

 それはよく地球と俗称されていた。巨大な丸い球体の表面に海があり、山があり、人が住む。そしてその球体は無数に存在し、そのどれもがすべて違う球体という設定だ。

 私も子供の頃はそんな夢のような世界に憧れたものだ。

 

 私たちの住む世界とは全く異なっているが、だからこそそれに惹かれ、登場人物に命をも見出したのだろう。

 

「……だってー」

「へんなこと書いてあったなあ。旧文明ってすごいな」

「コルネットてきとういってる」

そうじゃない。ふと稀に思うのだ。

 生きているつもりの私は何かの登場人物で、作られた通りに動いているだけなんじゃないかと。ふと、思うだけのことさ。

「リィンはどう思う?」

「なにかね……」

「うん」

「忘れてる。忘れたことにされてるようなきがする」

 

けれど間違ってはいけない。

そんな世界、あるわけないんだよ。

 

© 2016 Kiyuto Konno : Mimi Husagi

© 2016 Kiyuto Konno : Mimi Husagi